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ネットで「昼と夜の語源」と検索し、比較的上位表示されるサイトの内容を簡単にまとめると以下のような感じでした。
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【昼】古代において「ル」は、「状態」を表す語。「ヒ」は日=太陽。太陽がある状態という意味で「ヒル」。
【夜】同様に「ル」は状態。「ヨ」は、「他の」とか「停止」を表す語で、「他の状態(昼でない状態)」や「活動が停止している状態」ということから「ヨル」。
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幾つかのサイトを見ましたが似通った内容ですし、反対意見も見当たらなかったので正解なのかもしれませんが、これ僕は「夜」に関しては全然ピンとこなかったんですが、皆様は如何でしょうか?
「ル」に関しては、万葉仮名で確認されるのは「留 流 類」の3文字。「ヒル」は日(太陽)が留まっている時間、或いは日が流れる時間と捉える事は自然です。(万葉仮名は日本語の音声に漢字の音を合わせただけなので、もちろんルの音の意味有りきで、漢字の意味は後天的に細かく分化しながら現代の意味を与えられ、我々の感覚に刷り込まれたものです。)
「ヨ」に関して、万葉仮名で確認されるのは「用 容 欲 夜 与 余 四 世 代 吉」の10文字。確かに余白など「他の」と捉えられるものは有りますが、普通に「夜」という会意形声文字の音を表す「夕(ユウ)」からの音変化と捉える方が自然だと思うのですが・・・ウ~ム。夕は三日月の形から生まれた象形文字です。月が留まっている時間、或いは月が流れている時間で「ヨ(ユウ)ル」と考えた方が「昼(ヒル)」との整合性も取れると思うのですが如何でしょう?
徳之島の島口では、夜は「ユル」と発音するそうです。実は万葉仮名の「ヨ」に関しては、「用 容 欲 夜 」のグループと「与 余 四 世 代 吉」のグループで、奈良時代以前は明確な使い分けがされていたそうです。これは発音の違いによる使い分けだったというのが現代の定説です。つまり奈良時代は我々が使用していない「ヨ」に近い音があったという事。そして徳之島の島口には、現代の日本語には無い、通常の文字で表せない流音が多数存在します。面白い共通点だと思いませんか?アマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミだけでなく、言葉も昔の姿を多く今に残してる、そんな気がします。因みに島口で昼は「シル」で、白も「シル」。「白(シロ)」の語源て「昼(ヒル)」じゃないのかなぁ?なんて思ったりします。

言語の成り立ちとして、群れで生活する便宜上、まず直接的な意思の伝達手段として音声の言語が発生。その後、意思を距離や時間を越えて伝達する手段として文字が発生という順序になりますよね。広く告げるための媒体「広告」などのデザインにおいて、コピーというのは非常に重要なウエイトを占めますが、郷愁をさそったり、素朴さをアピールしたり、地域密着を印象付けたりするために、方言を利用したキャッチコピーというのは世の中に沢山あります。実は徳之島でも看板や広告などで、島口(方言)を利用したものは多数あるのですが、意味が何となく分かって初めてキャッチコピーの役割が果たせるんだなという事がよく分かりました。フェリーが着く海の玄関口、平土野港には古い防波堤をベースに「かんもーれ」「おぼらだれん」と書かれた巨大な看板があるのですが、それぞれ下部に小さく「WELCOME」「THANK YOU」と書かれてます。今でこそ「かんもーれ」も「おぼらだれん」も当たり前に分かりますが、初めてこれを見た時、日本語の意味を英語の説明で理解するというのは、ものすごく変な感覚でした(笑)
島口で夜はユル、昼はシルと言いましたが、「夜と昼との間」は「ユットゥシットゥヌエ」となります。フランス語のリエゾンも真っ青ですよね(^^;)
近い将来タイムマシーンが発明されたら、奈良時代にタイムスリップして万葉人と松原人(マチャラッチュ)で会話が成立するのか絶対試してほしい。。